映画のこと

正直どんな映画になるのか、今は想像がつきません。
しかしひとつだけ確かなことは、カメラ越しに観る袴田巌さんの存在そのものが
強烈なメッセージを発信しているということ。そのメッセージを我々がどう受け止めるかが問われるような、そんな映画になる気がします。

監督 金聖雄

2014年3月27日。

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映画「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」完成後、久しぶりに石川一雄さんそして早智子さんの撮影にでかけました。狭山事件から51年、今も尚、必死のアピールを続ける石川さん。「無罪を勝ち取るまで撮影を続ける!」そんな思いでカメラを回していた次の瞬間に一報が入りました。「袴田事件再審決定!」どっとわきあがる東京高裁前。石川さんの笑顔、そして早智子さんと支援者たちは手を取り合って涙しました。

「拘置を続けることは耐え難いほど正義に反する」「重要な証拠が捜査機関によってねつ造された疑いがある」、そして即日釈放。

48年ぶりに解放された袴田巌さんの姿はその日のニュース映像で劇的にまた生々しく映し出されました。元気な姿と拘禁症による理解の難しい言葉。解放された喜びと同時に48年という想像も及ばない奪われた時間を考えずにはいられませんでした。数日後、石川一雄さんと一緒に後楽園を訪ね、ずっと巌さんを支えつづけた姉の秀子さんとお会いしました。81歳の秀子さんの肌はつやつやしてその笑顔は眩しいほどに感じられました。困難を乗り越えた人だけが放つ輝きです。「2人を撮りたい!」後先考えずに「袴田映画プロジェクト」が動き始めました。

撮影はすでにはじまっています。後楽園で名誉チャンピオンベルトを巻きガッツポーズを見せる巌さん。事件のあった静岡を訪れ、友人たちと再会する様子。はじめて"家"に戻り支援者たちに歓迎をうける巌さん...。
そして騒ぎ立てる周囲とは裏腹に巌さんの"新しい日常"は静かで淡々としています。家の中をひたすら歩き食べて寝る...。祈りのようなつぶやき、神の世界の話。そして「甘いものが食べたい」という普通の会話...。

正直どんな映画になるのか、今は想像もつきません。しかしひとつだけ確かなことはカメラ越しに観る袴田巌さんの存在そのものが強烈なメッセージを発信しているということ。特別なことを直接的に語らなくても、そのメッセージを我々がどう受け止めるかが問われるような、そんな映画になる気がします。

私たちにできることは映画をつくり袴田事件そして巌さんのメッセージを多くの人に伝えることだと考えます。

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